9月の始まりにあたって(朝礼での校長あいさつから)
以下は9月1日に生徒に向けて話したものです。校内むけNEWSLETTERにも同内容を掲載しています。
7月の合同終礼で私は、夏期休暇中は日ごろはできない体験もどんどんして学ぶ楽しさを知る夏にしてほしい、と願うとともに、戦後80年の年にあたって、世界中でなぜ戦争や紛争が繰り返されるのか、自分たちにはなにができるのか、考える夏となることを願っていると伝えました。みなさん、いかがでしたでしょうか?毎年8月には、第二次世界大戦のこと、原爆のことがドキュメンタリー番組でとりあげられます。大戦中のことを単なる歴史的事実の知識としてインプットするだけでなく、大きな動きに巻き込まれて命を失った人々のことを学んで、その時抱いた思いを大切にしてほしい。
国際社会に目を向けると、「平和祈願」という言葉ががむなしく聞こえるような状況です。この夏も、大国のトップの間での会談が繰り返されていましたが、一向に収束しない国際状況を目の当たりにして、また、ガザでの飢饉の状況が報道される一方で全面否定する為政者がいるという状況を知り、やり場のない憤りや不安が入り混じる複雑な感情で心がいっぱいになった人は多いことでしょう。この感情に向き合うのはつらく、苦しく、ついついふたをしたくなるでしょう。でも、その感情、自分の思いを大切にしてほしいと思います。
学ぶこと、知ること、は大切です。ただ、学んで、知って、「わかったような気になる」のは危険です。正しい、正しくない、ではなく、皆さんの純粋な心で感じたことを大切にして、謙虚に学びを進めていってほしいと願います。
さて、夏休み中、私もいろいろな方と出会い、様々な学びも得ました。この夏、特に私の心に残った二つのことばを紹介します。
一つめは「感謝を忘れないで」ということば。
これはStanford 大卒業生のVarunさんが日本を離れるにあたって、洛星生に送ってくれたエールです。周りの人への感謝だけではなく、自分自身への感謝、自分の秘めたる能力、可能性に感謝を忘れないで、ということばは、カトリック校として洛星が大切にしていることに通じてもいます。
Varunさんからのエール
もう一つは、8月下旬に行われた、京都能楽師協会によるチャリティ能でのメッセージです。能には霊魂を鎮めるために演ずるという大きな意味を持つ、という説明のあと、国内外で今起こっている多くの災害やパンデミック、戦争・紛争、そして過去起こったことを思い出し、失われた命や苦しんでいる人のために能を演ずるのだ、思い出し「風化させないことも祈り」である、という説明が上演に先立ってなされました。
風化させないことも祈り。これは私たちにとって、とても分かりやすく重要な言葉だと感じました。
この二つのことば
「感謝を忘れないで」「自分自身への感謝もわすれないで」
「風化させないことも祈り」
を各々心にとめて過ごせば、より毎日が輝くのではないでしょうか。
送り火に祈りをこめて (高3生とともに)
校長