学校ブログ

種の不思議な力

「種」というと、ちょっと不思議なことがありました。

以前のブログでも記したように、私は自称「ジャムおださん」。ジャムづくりが大好きで、夏ミカンやゆず、はっさくのマーマレード、梅のジャムなど暇を見つけては手作りしています。息抜きにもなりますし、「おいしかったよ」と言われたら「豚もおだてりゃ木に登る」勢いで、「また作るから食べてね~」なんて調子よく言ってしまいます。

さて、今年の春のこと。同僚の松本先生(国語科)からお庭でなった無農薬夏ミカンを頂き(というより、おねだりしました)、せっせとマーマレードを作りました。夏ミカンの種やワタの部分はコトコト煮出すと、ペクチンが抽出され、マーマレードに自然なトロミを加えます。煮出した後の種をいつもなら生ごみとして捨ててしまうのですが、土に返れと植え込みに埋めました。

しばらくして5月末頃にふとみると、何か見慣れぬ植物がいくつも芽を出しているではありませんか!「なんだこりゃ?」と近づいて見てみると、小さいアゲハの幼虫がくっついています。アゲハは柑橘類が食草ですから、もしや夏ミカン?柚子? でもここに埋めた種は30分くらい煮たからまさか芽を出すなんてありえないよね?

そうこうしているうちに自然淘汰もあって、今は5本ほどが15センチほどに育ってきました。確かに夏ミカンです。

ゴミとして捨てた種、しかも熱湯でコトコト痛めつけた種が育っているのです。いつか花をつけ、実を結ぶのかな。それまでにアゲハの幼虫に食べられてしまうのかな、と思いつつ毎朝水やりをしています。

生物の先生にこのことを話すと、遺伝子的に熱に強いたんぱく質を発見したら、医薬分野ではすごいですよ、と言われ、松本先生の夏ミカン、奇跡の夏ミカンとして来年は生物部に研究材料として供出を……洛星生物部が大発見…ノーベル賞…などと妄想が膨らみます。

洛星で行っている様々な「種まき」。この夏ミカンのように、無駄だったかな、失敗だったかなというものからも思いがけず芽が出て立派な実を結ぶこともあるかもしれません。いつか忘れたころに。

植物の生命力、神秘を感じる夏ミカンです。

校長